2009年3月上旬に開催された全人代においては、内需拡大をテコにして8%の成長率を死守する事を確認しています。しかし、米国向けの輸出が落ち込んだ事を背景にして、2008年10月−12月のGDP成長率が6.8%にとどまっており、更に世界銀行が3月18日に発表した日本などで一般的な前期比による試算ではGDPの伸びは僅か2.5%にとどまるとのデーターも出ています。この金融危機以降の経済失速によって2000万人にも及ぶ農民工が失業してしまいました。全人代で温家宝首相は、GDP8%死守するとともに消費者物価指数を4%、都市部の失業率を4.6%に抑えるなどの目標も同時に発表しています。
こうした中国政府の政策からは、中国が地方債2000億元(約3兆円)の地方債発、7000億元(約7兆5千億円)の減税など、多少の財政赤字を覚悟してでも景気を下支えしていくと見られていくということです。2010年までの予算として投入が発表されているのは、4兆元(約60兆円)であり、今年はそのうちの1兆元を投入して、特にインフラ整備を中心に行っていくとの事です。世界銀行の3月18日の報告書では、2010年までの4兆円によってGDPは4.9%ほど押し上げられるとの試算も出しています。
日本では、インフラ整備を新しく作った所で利用者がおりませんので、既存のインフラをいかに利用していくかという事になります。例えば、高速道路の1000円化なども景気対策としては有効に機能する可能性があります。しかし、中国の場合には、まだ人口集中地域に対してもインフラが整っていない地域もあるので、インフラを強化していく必要性がある事は確かです。新たなインフラを作る効果は、日本よりも大きいのですが、問題は人口集中地域にインフラを建設しなければ意味がないという事です。まだ地下鉄、駅の改修工事などメインインフラが整備されていない西安、成都などが主要ターゲット地域となりそうです。
ただし、この政府の政策どおりにインフラ投資などの投資に偏って投資した場合には、不動産などのバブルを発生させる可能性があります。この不況によっても中国の不動産価格はそれほど大きな下落を示していません。一部の報道では売れ残りを指摘して大幅下落など書かれていますが、公式に発表されているデーターでは、2月12日に発表されている1月の不動産価格は、全国主要70都市の平均価格が前年同比0.9%下落、前月比0.2%下落と発表されています。
2月12日の同データーによる主要都市不動産価格では、北京市は前年同比で0.2%下落、前月比で0.2%下落で、新築住宅は前年同比で0.4%増加、前月比で0.1%下落とほとんど変化がありません。上海では前年同比2.3%下落、前月比0.2%下落、新築住宅は前月同比2.7%下落、前月比0.1%下落となっています。また、広州においては前年同比4.1%下落、前月比0.3%増加、新築住宅が前年同比j9.0%下落、前月比は0.3%増加となっています。
こうして見ると、各都市によって特徴はありますが、目だって大きいのは広州の新築住宅が9.0%下落している点です。これは、深センの価格下落が主要70都市の中で最も下落率が高かった為であり、前年同比で16.3%下落、前月比で0.4%下落となっています。新築住宅は前月比16.5%下落、前月比で0.2%下落となっています。全国70都市の中で60%にあたる46都市で価格下落が起きており、値上がりしたのは僅か6都市でした。
また、3月10日に発表された主要70都市のデーターでは、前年同月に比較して1.2%の下落になり、1月のデータ0.9%より0.3%ほど拡大しています。しかしながら、実際にこのデーターだけで捉えた場合には、それほど大きな下落をしている訳ではありません。2月のデーターは、深セン15.7%下落、広州4.4%下落、アモイ4.4%下落と下落率が大きくなっていますが、深センも1月より改善が見られます。
こうして見ると、実際には工場などが多く立地している広州の深センなどで価格下落率が激しく、北京や上海などではそれほど価格が下落している事が分かります。ただし、中国において企業の会計や個人資産形成なども不動産に依存する事が高くなってきていますので、不動産価格を下支えする事は中国経済にとって非常に重要なポイントになってきます。今後の中国政府の景気対策がこれらの不動産価格を下支えしていく事が予想され、日本と同じように「不動産バブル」になる可能性は十分にあると考えられます。


